ヤチリハのブログ

「義肢学」の授業の風景

 

こんにちは。
理学療法学科教員のYです。
今日は、理学療法学科 昼間コース2年生の「義肢学」の授業の風景を紹介したいと思います。


 

病気や怪我により、手足を切断してしまう方たちがいらっしゃいます。

また、糖尿病の合併症として切断に至る方も増えてきています。

 

2012年度の厚生労働省の統計によれば、日本の切断者は約14.7万人(内訳は、手の切断者が約9.8万人、足の切断者が約4.9万人)。発生率としては、毎年、人口10万人当たり約1.6人が切断しています。実は、この数字は欧米先進国とは比べものにならないほど少ないのです。

しかし、近年、日本も食生活の欧米化や高齢化などにより、特に高齢者の切断が増えてきている状況があります。

 

当然ですが、手足を切断してしまうと日常生活に非常に困難を生じます。

そのような方たちが、再び物をつかんだり歩けるようになるために使用するものが「義肢」です。

授業では、足を切断した方たちが使用する「義足」のことを多く扱っています。

義肢1義肢2

「義足」には、多くの種類が存在します。

それらは、切断患者さんの年齢や性別、生活状況などを考慮し処方されます。

例えば、若くて活動性の高い方には、動きやすい「義足」。

逆に、高齢者には、安定性があり膝折れを起こしにくい「義足」など。

 

「義肢学」の授業では「義足」の種類や特徴に加え、どのような状況の患者さんにどの「義足」が適しているのか、ということを学んでもらいたいと思っています。

 義肢3

 

国際福祉機器展の見学・体験

92729日、東京ビックサイトで「国際福祉機器展2017」が開催されました。

理学療法・作業療法では、動かなくなった体の機能を回復させるだけでなく、周りの環境を整えることでより快適な生活を送っていただけるようサポートを行うため、福祉機器の勉強もとても大切です。

そこで、作業療法学科昼間コース2年、理学療法学科昼間コース2年、理学療法学科夜間コース3年の学生約150名で、国際福祉機器展の見学・体験に行きました。

授業の関係により1日だけの見学・体験でしたが、どの学生も熱心に出展業者の話を聞き、実際に体験して利用される方の気持ちを感じることができたようです。この機器ははどんな方が利用されるのかな?もっとこんな機器があればいいのに!など、沢山のことを考えることができました。

また、毎年のように新しい機器が開発され、福祉や医療はどんどん進歩しています。就職しても、医療従事者として常に新しい知識や技術を身に付けるため、出来るだけこのような機器展に足を運んでもらいたいと思います。

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装具を着けるとなぜ歩きやすいのか

さて、皆さんこのような経験がありませんか?ブーツを履いて出かけた先でトイレに行きたくなったが、駆け込んだトイレが和式便器で、しゃがめずに困ってしまった・・・・硬い素材で出来たファッション性の高いブーツ、スケート靴、スキー靴、安全靴、登山靴というように足首が動きにくい靴を履くとしゃがみにくい事が経験的に分かると思います。(図1)

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図1 しゃがんだ姿勢です。脚の付け根の関節(股関節)、膝の関節、足首の関節をそれぞれ大きく曲げることでしゃがむことができます。

このように足首の動きを固定することは、日常生活において多くの支障をきたしますが、実は都合の良い場合もあります。それはこれからお話しする「下肢の支持性」という効果です。つまり下肢の関節の動きを固定すると、脚を伸ばす力(体重を支える力)を必要としなくなり、結果として疲れにくいということです。

例えば、週末の行楽でスキーを楽しむ場合は、泊り掛けや1日中など比較的長い時間をかけ、時間を忘れたかのように夢中で楽しみます。しかし、1日じゅう中腰の姿勢を強いられている割には、不思議なことにさほど疲れを感じません。これが同じ中腰姿勢を強いられる草むしりや稲刈り・田植えといったような作業ともなると足腰が辛くてたまりません。疲労感を左右する要因として、その行った作業が楽しいか否かによって疲労感が異なるかもしれませんが、もう一つ大事な要因は、スキー靴による足首の固定が挙げられます。草むしりもスキーも同じ中腰姿勢ですが、スキーは足首を固定しているので楽なのです。同じような例として、本格的な登山靴が挙げられます。以前にプロの登山家とお話しする機会があったとき、登山靴について尋ねると「重装備の登山では軽量素材で出来た登山靴(トレッキングシューズ)より、丈夫に出来た本格的な登山靴のほうが疲れにくい」という言葉がありました。これにも疲れにくい要因はいくつか考えられますが、大事なことは・・・・もう皆さん、お分かりいただけましたよね。登山靴は固い革が足首まで覆い、足首の動きを固定することにより、いわば、登山靴が重たい装備や体重を支えているのです(図2)。

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図2 ある冬山の登山風景 8000m級の登山では山頂手前で背負う荷物の重量は20キログラム以上という。空気が薄い分、相当体力的に厳しいと思います。

話は回りくどくなりましたが、脚につける装具(下肢装具)も前述と同じような目的があります。下肢装具は怪我や病気の後遺症で立ったり歩いたりすることができない場合に使用するもので立ちやすく、歩きやすくするための福祉用具のひとつです。例えば、膝関節を伸ばす力が弱くても、足関節の動きを固定することにより、筋肉に代わって支持性を維持することができます。これを短下肢装具といいます(図3左側)。この装具はしゃがむことは難しいですが、座ったり歩いたりすることができるので、日常生活で使用できる便利な装具です。但し、足関節だけの固定では支持性には限界があります。「全く力が入らない」といったように脚の力がとても弱い場合は足関節と膝関節の両方を固定することにより、より強度な支持性を得ることが出来ます。これを長下肢装具といいます(図3中央)。 力が入らない部位が脚全体から骨盤まで広範囲に及ぶ場合には、股関節(脚の付け根の関節)・膝関節・足関節の3つの関節を固定する装具(骨盤帯付き長下肢装具)もあります(図3右側)。長下肢装具や骨盤帯付き長下肢装具は、動かない関節が多いので日常生活ではあまり使用されません。立ったり歩いたりするリハビリをする目的で使用されることが多い装具です。

 以上のように装具を着けて歩くということは、健常な人が着けても通常は歩きにくいだけですが、下肢の支持性を失った障がい者にとっては、再び歩くことが出来るために無くてはならない必須アイテムなのです。

図3図3-1図3-2

3 下肢装具の種類 左側から短下肢装具、長下肢装具、骨盤帯付き長下肢装具

 

 

 

奥田裕先生の活動記録 vol.7

活動報告 vol.7

理学療法士としての活動報告 個別理学療法

 

 

八千代リハビリテーション学院の皆さん、入学を希望している皆さん、こんにちは。

チリで青年海外協力隊として活動している(現在休職中)理学療法学科教員の奥田です。

 

日本は暑い夏が終わり、そろそろ秋の気配を感じ始めている頃でしょうか。私がいるチリでは、ようやく寒くて長い雨の多い冬が終わりつつあり、日本の春と同じように桃や桜の花が咲き、アロモという黄色い花が日本の桜のようにチリ全体(かどうかはわかりませんが、少なくとも私の任地では・・)を黄色に染めています。(写真123)

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アモロの花

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ある日の夕焼け

 

チリでは8月に雨が多くとても寒い日が続くため、8月が終わると「pasado de agosto:パサドデアゴスト」という8月が無事に終わったね、という高齢者のイベントがあります。

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今年はこのパレードに参加できなかったので写真は昨年のものです。

 

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歌を歌っている「チリピルコ」の人たちと一緒に写真を撮ってもらいました。

 

また、918日はチリの独立記念日のため、チリ全体でお祝いをします。9月になった途端にチリ全体がお祭りムードになってきています。

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ディエシオーチョ前には国中にチリ国旗が掲げられます。

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お店もディエシオーチョムード一色。チリではディエシオーチョに子供たちが凧揚げをします。 

 

さて、前回から私の理学療法士としての活動を紹介しています。前回は、「訪問理学療法」について紹介しました。

今回は、私のオフィスでの個別理学療法と、週1回訪問している「sueños sin limites(スエニョスシンリミテス)」という障がい者団体での活動を紹介します。

私のオフィスはウアラニェ市役所から歩いて3分くらいのところにあるミニスーパーの2階にあります。

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私のオフィスはこの2階にあります。この大きなアイスの冷蔵庫をすり抜けて階段を登ってこないといけないので、患者には酷…。

 

治療用ベッドが一つ置いてある小さな部屋になります。

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治療室…。

 

最初はそこにパソコンを置いて一人で業務をしていたのですが、途中から同じ階にあるコーポラシオンムニシパル(訳すと市役所の協力課?)にデスクを置いてもらい、報告書作成等の様々な業務はそこで行っています。

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マイデスク

 

治療用のオフィスでは、最近は週3人くらい個別理学療法を実施しています。個人開業オフィスのような感じです。市役所で予約をして来た人や、飛び込みで来た人などの対応をしています。病院に行かずに直接来ることが多く、話を聞いて症状が気になる人は、病院受診を促します。「活動報告4」でも紹介したように、チリでは日本と同様に医師の指示のもと理学療法を実施しますが、個別診療として医師の指示なしで実施している人も多いようです。最近は大分減ったものの日本も同様ですが「理学療法=マッサージ」と思っている人はチリでも多く、私が赴任した最初のころは「マッサージしてくれ」と、マッサージ目的で来る方がたくさんいました。そんな方には一応評価はしますが、マッサージは極力行わずに運動指導をするようにしていたら、マッサージ希望の方は少なくなりました。体よく無料マッサージ屋にされてはかないません。しかし「マッサージしてくれ」と来る方の中にも、実は深刻な問題を抱えている方もいるため、一概に「マッサージ」目的で来た方を追い返すわけにはいきません。オフィスに依頼に来る方は肩や上肢に痛みを抱えた方が多く、その殆どが「tendinitis:腱炎,腱鞘炎」と診断されています。病院では簡単な問診をして痛み止めを処方されただけで、特に検査等は行っていないという方が多いです。実際に評価をしてみると、「腱板損傷」の方が多いです。中には深刻な頸の問題を抱えている方もいました。その方は交通事故の既往があり、頸のセキュリティテスト(頸の靭帯の安全性を確認するテスト)陽性の方がいて、病院受診を促しました。整形外科専門医の受診をした結果、手術が必要と言われたらみたいですが、手術をするにはかなりの手術費を支払う必要があり、そのまま放置するとのことでした。

肩と同様に膝の痛みを抱えた方もたくさん来られます。膝の痛みを抱えた方の殆どが肥満体型で、まずは痩せましょう・・と、言いたくなってしまうことが多いです(実際に言ってますが・・・)。そのような経験から、予防に関する活動の必要性を強く感じ、実施することになりました。

オフィスでの個別理学療法の他に、週1回訪問しているのがウアラニェ市の障がい者同士で集金をして運営している「sueños sin limites(スエニョスシンリミテス)」です。直訳すると「制限のない夢」ですかね。

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sueños sin limites(スエニョスシンリミテス)

 

ここでは就学前の子供や高齢者に対して個別理学療法を実施します。施設はかなり整っていて、私の治療用オフィスと比べると天と地くらいの差があります。

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ここでは現在、私ともう一人の理学療法士がそれぞれ週1回ずつ、週2回訪問しています。もう一人の理学療法士に対しては市役所が日当を支払っているとのことです。ここには、脳性麻痺、脊髄損傷、脳卒中後遺症、交通事故後の後遺症、先天性疾患の方など、多岐にわたる疾患を持った方が来られます。

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スエニョスシンリミテスでの理学療法中の写真。

 

ここの団体の代表をやっているマリソルです。

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マリソルと

 

この方自身も先天性の股関節の疾患を持っていて、手術を何度か実施していますが、現在の股関節の状態はこんな感じです。

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マリソルの右股関節

 

杖を使用しているものの、よく歩いているなあ、と思うと同時に、非常に元気でよく働かれる方で、本当にこの方の股関節はこんなになっているのかと思ってしまいます。

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スエニョスシンリミテスの訪問時、治療以外にも楽しみにしていることがあります。それはこの施設の横で、揚げエンパナーダを売っており、私もマリソルも好きなので、よく買って食べます。アツアツのチーズが入っていてとても美味しいです。一つ300ペソ、約60円です。

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エンパナーダフリータ(揚げエンパナーダ)

 

 

 

過去の活動報告

 

活動報告6:理学療法士としての活動報告訪問理学療法

 

http://www.yachiyo-reha.jp/blog/その他/6156

 

活動報告5: チリの医療について

 

http://www.yachiyo-reha.jp/blog/学院の特徴と紹介/6061

 

活動報告4:チリの食生活について

 

http://www.yachiyo-reha.jp/blog/学院の特徴と紹介/6027

 

活動報告3:チリでの活動について

 

http://www.yachiyo-reha.jp/blog/学院の特徴と紹介/5920

 

活動報告2:派遣前訓練について

 

http://www.yachiyo-reha.jp/blog/学院の特徴と紹介/5751

 

活動報告1:JICA青年海外協力隊について

 

http://www.yachiyo-reha.jp/blog/学院の特徴と紹介/5651

奥田裕先生の活動報告 vol.6

理学療法士としての活動報告 訪問理学療法

 

八千代リハビリテーション学院の皆さん、八千代リハビリテーション学院入学を希望している皆さん、こんにちは。理学療法学科教員で現在休職中、JICA青年海外協力隊としてチリで活動している奥田です。

20168月に任地に配属されたので、任地に来て1年が経過しました。1年経過すると、最初は物珍しかったことなども、「当たり前」のように感じてしまい、日本の生活と比べると「非日常」であった生活が「日常」になってきている自分に気が付きます。若干「日本シック」になりつつあります(^^;。日本の美味しいご飯が食べたい!!

 

今回から、少しずつチリでの活動の詳細を紹介していこうと思います。

私の大まかな活動報告は「活動報告3」で紹介しましたが、配属先は、チリのウアラニェ市という市の市役所です。主な目的は、高齢者を中心とした市民に対する健康増進、障がい予防です。

病院で患者さんを待って他の理学療法士と一緒に働きながら行うような活動ではないため、最初は戸惑いもありましたが、その分自由度も大きく、自分の動き方次第で様々な形で活動ができる面白さもあります。

 

今回は、活動の一つである「訪問理学療法」を紹介します。

20178月現在、週9回、8(1名のみ週2回訪問)のご自宅へ訪問し、個別の理学療法を実施しています。前回の「活動報告5」でも少し紹介したように、チリの医療は急性期病院から在宅医療への引き継ぎのシステムが十分に整っていません。訪問理学療法の開始に関しては、日本のように「ケアマネージャーから依頼があって・・」などの制度はありません。私が担当している方は、家族が困って市役所に相談に来た、周辺住民が市役所職員に相談に来た、家族が町でたまたま私を見かけて相談しに来た、などによって開始しています。私をたまたま見かけて相談となると、奇跡に近いですよね・・・。

 

4名の方について具体的に紹介します。

1人目は、60代の女性。脳梗塞で急性期病院に入院し、その後自宅へ退院。退院から約2か月後に親戚からの依頼があって訪問開始。チリでの訪問では、移動手段が大きな問題になりますが、この方の家は私の事務所から車で約30分かかるところを、親戚の方が毎回私の送り迎えをしてくれました。

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この方に車で送ってもらっていました。実は学校でスペイン語の教師をされていて、たまに車の中でスペイン語を教わっていました

 

訪問理学療法開始前にも家族が身体を動かしていたとのことで、訪問時、物につかまれば立ち上がりは可能、歩行器使用で少し介助すれば歩行可能な状態でした。

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訪問理学療法開始前くらいの歩行場面

 

左上下肢に麻痺はあったものの軽度で、両下肢体幹の筋力低下あり。週1回の訪問理学療法では、下肢筋力トレーニングを中心とした自主トレ指導と、その確認を主に実施しました。

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自主トレ確認中。写真は片足立ちを確認しています

 

この方の良かったところは、家族が非常に優しく理解のある方で、しっかりと日々の自主トレの確認をしてくれたところです。また、自主トレに限らず、できることをどんどんご自分でやらせるようになり、気が付いたら料理もされていました。

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突然家で料理もやってるよ、と言われて驚きました

 

約半年間訪問し、屋外歩行もほぼ自立したのを機に訪問理学療法終了となりました。

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屋外歩行場面。近所のミニスーパーまで歩いていけるようになりました

 

2人目は、70代の男性。脳梗塞で急性期病院に入院し、その後自宅へ退院。自宅退院後約3カ月間ほぼ寝たきり状態。

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訪問開始時はほぼ寝たきりでした

 

この方は奥さんと二人暮らしで、いわゆる老々介護の家庭です。退院後3ヶ月時に、私がよく通っている福祉用具屋のおばちゃんからたまたま紹介され訪問理学療法開始となりました。初回訪問時、右上肢の麻痺は重いものの、右下肢の麻痺は比較的軽い。しかし、3カ月の寝たきり状態によって、筋力・体力低下が著しい。寝返り起き上がりにも軽介助を要し、立ち上がりには多くの介助を要しました。

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訪問開始時のベッドからポータブルトイレへの介助指導場面

 

この方の家は徒歩で訪問でき、状況から週2回の訪問を実施しています。この方も自主トレ指導と確認を中心に実施しています。最初は寝返り起き上がりを中心に、徐々に立ち上がりや立位での下肢筋力トレーニングを混ぜ、少しずつ奥さんとの歩行練習をして、奥さんとの歩行練習も私がいない時にも自主トレとして実施してもらうようにしました。

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奥さんとの歩行練習場面

 

現在は、食堂まで奥さんと歩き、食堂で食事をとることができるようになっています。

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食堂でご飯が食べられるようになりました。写真を撮っているので、ご本人は緊張された顔をしています

 

3カ月の時点でたまたま福祉用具屋のおばちゃんの紹介がなかったら、今頃おそらく寝たきり生活が続いていたんだろうなと思うと、少し怖い気がします。

 

3人目は稀なケースです。60代の脳梗塞の女性で、約4年前に発症しています。3年程前からある介護士(しかし無資格)が自宅で介護するようになってから、状況がずいぶん変わったとのことです。その方が来る前まではほぼ寝たきりでおむつを使用していました。その方が担当するようになって、なるべく離床時間を増やし、歩行練習や階段昇降練習なども行うようになり、現在階段を降りてトイレまで行くことができるまでになったようです。

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この介護士の方が優しくも厳しく毎日歩行練習などを行って、トイレが使えるようになったよと教えてくれているところ

 

今週訪問した時には屋外歩行も行うことができるようになっていました。

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階段昇降はご自分で可能、屋外歩行も見守りで可能になっています

 

私への依頼も、たまたま他の方の訪問に行くのにタクシーを使う機会があり、そこで一緒にその介護士と乗り合わせたのがきっかけで相談され、その方の訪問理学療法が開始しました。

チリでは有資格、無資格の介護士を在宅で見かけることがありますが、ほとんどの介護士はリハビリテーションを理解していません。「かわいそう」という言葉とともに、「寝かせきり」にしていることが殆どです。私が介助指導や離床のお願い等をしてもあまり聞く耳を持っていない人が多いです。この3人目の介護士のような方がもっと増えてくれば良いと思います。

 

4人目は成人男性です。もともと小児麻痺で、依然はテレトンの病院(活動報告5参照)に通い、学校も特別学級に通っていました。しかし、チリでは成人障がい者が通える施設がありません。そのため、ほとんどの障がい者は自宅で家族が介護することになります。この方もお母さんがほぼ一人で介護しています。

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お母さんと一緒に

 

コミュニケーション困難で、脊柱の変形、四肢の拘縮も著しく、身体もほとんど自分で動かすことができません。

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お母さんが毎日身体を動かしています

 

私は週1回訪問し、状態の維持目的に全身を動かし、呼吸理学療法などを行っています。小児疾患に関しては日本も同様だと思いますが、この先お母さんが高齢になったら、お母さんにもしものことがあったらどうなってしまうのだろう・・・などと、考えてしまいます。

 

今回の4例は比較的良い環境で生活している方です。日本も同様ですが、大きな障がいを持った後の生活には家族の協力、理解が非常に重要になってきます。チリでも、あまり協力の得られない家族や理解のない介護士が関わっている方はなかなか改善がみられないどころか、徐々に状況が悪化していることも多く苛立ちが隠せません。日本は今では当たり前のように大きな障がいを持った後には様々な「リハビリテーションサービス」が開始されます。市民もそれが「当たり前」になっていると思います。チリは、他の途上国に比べて経済的には裕福になっているものの、医療福祉サービスをみるとまだまだ十分ではなく、このような概念の教育の必要性も感じます。

また、依頼があって訪問するものの、訪問理学療法を実施しないことがあります。その内の何人かは寝たきりではない人なので、このような方には私が訪問するのではなくご自分で私のオフィスに来てもらうようにします。他には認知症が少しずつ進行し家の中は歩けるけど徐々に体力が低下してきている方です。このような方には、地域で開催されている高齢者グループへの参加を促したり、私が訪問するのではなく私のオフィスに来てもらって家から出る機会を増やしてもらいます。日本ではこのような方はデイサービスやデイケア、ショートステイなどのサービスを利用できますが、私が活動しているウアラニェ市にはこのようなサービスはありません。

現在の私の訪問理学療法は市役所のサービスとして行っているため無料です。一般的には、チリで在宅での理学療法を行う場合は、個別で理学療法士に依頼をして実施していることが多いみたいで、理学療法士としても良い収入源になっているみたいです。しかし、貧しい家はそのようなサービスを利用することができないため、家族が実施するか、何もしないか、ということになります。適切なサービスを利用していれば自立しているような方も、家の中で寝たきりになっている障がい者がたくさんいるんだろうと予想することができます。思えば私が10年程前に日本で訪問理学療法を実施していた時にも同様のことがありました。10年以上寝たきりだった元小児麻痺の方が、少しずつ歩行可能になったのを覚えています。現在の日本では、リハビリテーション病院が増え、介護保険サービスが充実し、状況はかなり改善されてきています。チリも少しずつ改善していけばと思うばかりです。

 

 

 

過去の活動報告

 

活動報告5: チリの医療について

http://www.yachiyo-reha.jp/blog/%e5%ad%a6%e9%99%a2%e3%81%ae%e7%89%b9%e5%be%b4%e3%81%a8%e7%b4%b9%e4%bb%8b/6061

活動報告4:チリの食生活について

http://www.yachiyo-reha.jp/blog/学院の特徴と紹介/6027

活動報告3:チリでの活動について

http://www.yachiyo-reha.jp/blog/学院の特徴と紹介/5920

活動報告2:派遣前訓練について

http://www.yachiyo-reha.jp/blog/学院の特徴と紹介/5751

活動報告1:JICA青年海外協力隊について

http://www.yachiyo-reha.jp/blog/学院の特徴と紹介/5651

さまざまな筋力を測る方法 ~理学療法評価法Ⅱの授業内容の紹介~

理学療法学科教員のHです。今回は、私が担当している理学療法評価法Ⅱの授業内容を紹介したいと思います。私の授業では、理学療法の治療を計画する上で必要な情報である筋力検査の正確な実施を目標に授業を展開しています。その筋力検査には、大きく2つあります。1つ目は、道具の機能を利用した測定方法です。みなさんも小学校や中学校でスポーツテストを経験したかと思いますが、そのテスト種目の中にヒントがあります。それは何の種目でしょうか?



答えは、「握力測定」や「背筋力測定」などです。

握力計背筋力計

握力計              背筋力計

 

握力測定を例に挙げると、握力計を握ると目盛に結果が表示され、握力を知ることができます。一目瞭然で便利ですよね。

握力測定 握力測定の様子

 

理学療法や作業療法ではもっと細やかな握力を測る道具があり、「ピンチメーター」と呼ばれる指専用の握力計もあるんですよ。
ピンチメーター1ピンチメータ使用の様子1ピンチメーター2 ピンチメーター2

握力計などの道具を使う筋力検査は一見便利なように思えるかもしれませんが、実は弱点もあります。

それは更に細かな1つ1つの関節の筋力を測ることはできないことです。実は指1本でも大きく3つの関節があります。

道具の構造上、1つの関節だけを動かして筋力測定することはできません。

て 握力計を握る手の形と動く関節

そこで、便利な検査が2つ目の手で測る方法です。手は握力計にように目盛りはありませんが、道具にはない細やかな動きをすることができます。

指を器用に使うことによって、1つの関節に関わる筋力を測ることができます。

て2手を使った指先のみの筋力検査手を使った指先のみの筋力検査

両側から指を押さえて、動かないよう固定し、指先を押します。

授業では正しい検査方法と目盛りに変わる基準を学びます。握力計に負けない人間の能力で体中の筋力を検査します。

顔や胴体、肩、肘、手、指、膝、足首、足指など検査項目は70項目以上あります。

医学が日進月歩で進化する中、様々な技術が開発されていますが、人間にしかできない検査も未だ存在しています。

私の授業では道具と人間にしかできない能力を活かした技術の融合を目指して授業を実施しています。

みなさんが入学された際は、1年生の下半期で習うと思います。お待ちしています。

評価学演習Ⅰ ~関節可動域測定の実技テスト風景~

こんにちは。
理学療法学科教員のMです。
今日は、理学療法学科 昼間部1年生の関節可動域測定の実技テストの風景を紹介したいと思います。

評価学演習Ⅰの授業では、“評価”について勉強します。

評価の定義は、患者様の持つ症状や障害を把握して、それらの情報を分析し、治療方針を立案して、その治療結果を確認し、患者の将来を予測する過程である。とあります。

患者様を治療する前に、現在どのような症状や障害があるかを把握することは、とても大事なことです。

患者様の状況を把握せずに、治療はできませんよね。

そこで、その状況を把握する手段をこの授業で学びます。
沢山ある評価の種類の中で、関節可動域測定(ROM-T:Range Of Motion Test)を学びます。ROM-Tとは、身体の各関節の運動範囲を角度計(ゴニオメーター)を使用して測定することです。

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授業では、より実践力を鍛えるために、実技テストを行います。

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緊張しながらも、一生懸命やってます。

 

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ただ実技試験をやるだけでなく、理学療法士である教員からアドバイスをもらいながら、正しい測定方法を学びます。

 

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まだ入学して4か月余り、何も知らないところから、日々勉強して、日々成長しています。

 

7月の夏のオープンキャンパス

こんにちは!
八千代リハビリテーション学院教員、理学療法士のIです。
今回は、7月23日に開催されたオープンキャンパスについてお話いたします。

今年もたくさんの方々に来ていただけました。
教職員一同感謝でいっぱいです。
少しでもリハビリテーションのすばらしさ、『ヤチリハ』の良さが伝わりましたでしょうか?

平成29年OC7月

『教員による個別相談』

平成29年OC7月②

『在学生による個別相談』

平成29年OC7月③

『寮見学に行ってらっしゃい』

平成29年OC7月④平成29年OC7月⑤

『模擬授業の様子です』
等々、盛りだくさんのスケジュールでしたよ!

今回のオープンキャンパスで、私は模擬授業を担当いたしました。

「みなさん、理学療法士ってどんな職業か知っていますか?」

理学療法士を一言でいうと「基本動作の専門家」と言われています。
今回の模擬授業では脳卒中の患者様の動作分析から治療プログラムの作成まで、わかりやすく解説いたしました。

オープンキャンパスの参加者だけでなく、教職員も見学に来てくれたので、うれしさ半分、緊張半分といったところでした。

8月27日に第2回オープンキャンパスが開催されます。
7月とは違う内容で模擬授業が開催されます。8月の模擬授業は骨折の理学療法の授業を行う予定です。

参加が2回目でも3回目でも大歓迎です。お気軽にお越しくださいね!

 

トレーニングの効果

皆さんこんにちは。
八千代リハビリテーション学院、理学療法学科教員です。運動学演習を担当しています。
突然ですが、皆さん日頃、定期的に運動をしていらっしゃいますか。

私は自信を持って言える程ではないですが、ウエイト・トレーニングと水泳を週1回ずつ行っています。(以前はウェイトトレーニングを週2回でしたが、半年位前から家族の勧めもあり、今の組み合わせに変えました)。水泳を組み込んだ事で、以前は痛かった肘や膝といった関節に負担をかけずに全身を動かせるので、周囲の筋肉の刺激、強化にもつながり、現在は痛みなく運動が出来ています。この事は体調を維持する上で大きいのではと思われます。

イラスト2
このように、運動の効果は至る所で現れています。少々の運動では筋肉痛を起こす事が少なくなりました。気分転換がしっかり図れ、ストレスを減少する事につながっています。
但し、運動実施の際は、負荷は適量である事が大事になります。現在の自分の筋量から見て、きつい負荷では(年齢にもよりますが)、特に年齢が上の世代では、10~20代といった若い世代と比べ、筋力や骨や関節の弱化が見られ、運動の実施は難しいと思われます。長く続けるには怪我をしない事が大事となり、その為には一つの例ですが、運動の順序に気を付ける事、具体的には同じ種類の運動を繰り返さない、引く動作を1セット(※ここでは10回を1セットとする)行ったら、次は押す動作を1セットと、交互に行う、といった様な事は留意する必要があるかと思います。

イラスト
年齢が上がってくると、筋力の伸び幅が狭くなります。最大筋力の向上は若いとき程は簡単ではないのですが、現在ある筋力の維持はある程度可能です。ジムやプールでも、最近意識して身体を動かす高齢者がよく見かけられるのはそういった理由もあるかもしれません。民間のトレーニングジムでトレーナーの方についてもらって行うのも一つの手ですが、公共の施設でも考えながらやれば自分で取り組む事も可能です。そのためには、むやみやたらにやるよりも、八千代リハビリテーション学院の様な学校で学ぶ、解剖学、運動学、生理学といった基礎医学の知識を役立てることが有効です。また更に、そのようにして、自分の身体でトレーニングの効果を体感できれば、自分の健康に役立つだけではなく、人に指導するといった可能性も広がり、とても有益なものとなるのではないでしょうか。

 

 

 

実習着が届きました!

こんにちは!

理学療法学科教員のMです。
私は昼間コース1年生の担任をしています。
昼間コースは現役生(高校からそのまま進学)がとても多いため、とにかく元気いっぱいです!
みんなでワイワイしながら、勉強を頑張ってます。
授業は講義形式の授業と実技形式の授業に大きく分けられます。
実技形式の授業で着用するのが実習着(ケーシーといいます)です。
3年生では、この実習着を着て臨床実習に臨みます!

その実習着が、先日届きました!
届いたら早速実習着を着て授業!・・・ではなく、まずは着方などについてチェック!
裾上げはちゃんと出来てる?
靴下はちゃんと白色?
髪型などは大丈夫?

こういった所をチェックし、おおむねOK!
実習着を初着用ということで、記念にクラス全員でパチリ!

ケーシ―

うん、いいですね~

この後それぞれで思い思いに写真撮りあっていましたよ。その1つがこちら!

ケーシ―2

ね、元気いいでしょ~!楽しいクラスです!

でも、楽しくって元気いっぱいっていうだけじゃないですよ。
勉強、とても頑張っています!

5月くらいからですかね~
授業が終わった後に、図書室や学生サロンで残って勉強するようになりました。
最初は数人だったのが、どんどん増えてきました!
みんなで一緒に勉強して、分からないところを教えあったり確認しあったりしてます。

みんなで協力し合いながら、元気に頑張って欲しいですね♪

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