奥田裕先生の活動記録 vol.7

活動報告 vol.7

理学療法士としての活動報告 個別理学療法

 

 

八千代リハビリテーション学院の皆さん、入学を希望している皆さん、こんにちは。

チリで青年海外協力隊として活動している(現在休職中)理学療法学科教員の奥田です。

 

日本は暑い夏が終わり、そろそろ秋の気配を感じ始めている頃でしょうか。私がいるチリでは、ようやく寒くて長い雨の多い冬が終わりつつあり、日本の春と同じように桃や桜の花が咲き、アロモという黄色い花が日本の桜のようにチリ全体(かどうかはわかりませんが、少なくとも私の任地では・・)を黄色に染めています。(写真123)

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アモロの花

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ある日の夕焼け

チリでは8月に雨が多くとても寒い日が続くため、8月が終わると「pasado de agosto:パサドデアゴスト」という8月が無事に終わったね、という高齢者のイベントがあります。

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今年はこのパレードに参加できなかったので写真は昨年のものです。

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歌を歌っている「チリピルコ」の人たちと一緒に写真を撮ってもらいました。

また、918日はチリの独立記念日のため、チリ全体でお祝いをします。9月になった途端にチリ全体がお祭りムードになってきています。

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ディエシオーチョ前には国中にチリ国旗が掲げられます。

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お店もディエシオーチョムード一色。チリではディエシオーチョに子供たちが凧揚げをします。 

さて、前回から私の理学療法士としての活動を紹介しています。前回は、「訪問理学療法」について紹介しました。

今回は、私のオフィスでの個別理学療法と、週1回訪問している「sueños sin limites(スエニョスシンリミテス)」という障がい者団体での活動を紹介します。

私のオフィスはウアラニェ市役所から歩いて3分くらいのところにあるミニスーパーの2階にあります。

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私のオフィスはこの2階にあります。この大きなアイスの冷蔵庫をすり抜けて階段を登ってこないといけないので、患者には酷…。

治療用ベッドが一つ置いてある小さな部屋になります。

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治療室…。

最初はそこにパソコンを置いて一人で業務をしていたのですが、途中から同じ階にあるコーポラシオンムニシパル(訳すと市役所の協力課?)にデスクを置いてもらい、報告書作成等の様々な業務はそこで行っています。

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マイデスク

治療用のオフィスでは、最近は週3人くらい個別理学療法を実施しています。個人開業オフィスのような感じです。市役所で予約をして来た人や、飛び込みで来た人などの対応をしています。病院に行かずに直接来ることが多く、話を聞いて症状が気になる人は、病院受診を促します。「活動報告4」でも紹介したように、チリでは日本と同様に医師の指示のもと理学療法を実施しますが、個別診療として医師の指示なしで実施している人も多いようです。最近は大分減ったものの日本も同様ですが「理学療法=マッサージ」と思っている人はチリでも多く、私が赴任した最初のころは「マッサージしてくれ」と、マッサージ目的で来る方がたくさんいました。そんな方には一応評価はしますが、マッサージは極力行わずに運動指導をするようにしていたら、マッサージ希望の方は少なくなりました。体よく無料マッサージ屋にされてはかないません。しかし「マッサージしてくれ」と来る方の中にも、実は深刻な問題を抱えている方もいるため、一概に「マッサージ」目的で来た方を追い返すわけにはいきません。オフィスに依頼に来る方は肩や上肢に痛みを抱えた方が多く、その殆どが「tendinitis:腱炎,腱鞘炎」と診断されています。病院では簡単な問診をして痛み止めを処方されただけで、特に検査等は行っていないという方が多いです。実際に評価をしてみると、「腱板損傷」の方が多いです。中には深刻な頸の問題を抱えている方もいました。その方は交通事故の既往があり、頸のセキュリティテスト(頸の靭帯の安全性を確認するテスト)陽性の方がいて、病院受診を促しました。整形外科専門医の受診をした結果、手術が必要と言われたらみたいですが、手術をするにはかなりの手術費を支払う必要があり、そのまま放置するとのことでした。

肩と同様に膝の痛みを抱えた方もたくさん来られます。膝の痛みを抱えた方の殆どが肥満体型で、まずは痩せましょう・・と、言いたくなってしまうことが多いです(実際に言ってますが・・・)。そのような経験から、予防に関する活動の必要性を強く感じ、実施することになりました。

オフィスでの個別理学療法の他に、週1回訪問しているのがウアラニェ市の障がい者同士で集金をして運営している「sueños sin limites(スエニョスシンリミテス)」です。直訳すると「制限のない夢」ですかね。

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sueños sin limites(スエニョスシンリミテス)

ここでは就学前の子供や高齢者に対して個別理学療法を実施します。施設はかなり整っていて、私の治療用オフィスと比べると天と地くらいの差があります。

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ここでは現在、私ともう一人の理学療法士がそれぞれ週1回ずつ、週2回訪問しています。もう一人の理学療法士に対しては市役所が日当を支払っているとのことです。ここには、脳性麻痺、脊髄損傷、脳卒中後遺症、交通事故後の後遺症、先天性疾患の方など、多岐にわたる疾患を持った方が来られます。

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スエニョスシンリミテスでの理学療法中の写真。

ここの団体の代表をやっているマリソルです。

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マリソルと

この方自身も先天性の股関節の疾患を持っていて、手術を何度か実施していますが、現在の股関節の状態はこんな感じです。

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マリソルの右股関節

杖を使用しているものの、よく歩いているなあ、と思うと同時に、非常に元気でよく働かれる方で、本当にこの方の股関節はこんなになっているのかと思ってしまいます。

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スエニョスシンリミテスの訪問時、治療以外にも楽しみにしていることがあります。それはこの施設の横で、揚げエンパナーダを売っており、私もマリソルも好きなので、よく買って食べます。アツアツのチーズが入っていてとても美味しいです。一つ300ペソ、約60円です。

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エンパナーダフリータ(揚げエンパナーダ)

 

 

 

過去の活動報告

 

活動報告6:理学療法士としての活動報告訪問理学療法

 

 

活動報告5: チリの医療について

 

 

活動報告4:チリの食生活について

 

 

活動報告3:チリでの活動について

 

 

活動報告2:派遣前訓練について

 

 

活動報告1:JICA青年海外協力隊について