八千代リハビリテーション学院、作業療法学科教員の椛島(カバシマ)です。
今年の4月に小倉リハビリテーション学院(北九州市)より転勤してきました。
というより、4年ぶりに八千代リハビリテーション学院に帰ってきました。
4年も経つと知っている在校生は一人もいません。しかし、実習地訪問の時に卒業生と会う機会がありました。学生を指導する立場になった姿を見ることができ、とても嬉しい気持ちになりました。
ところで話は変わりますが、爪切りの話をします。
右手の爪を切るときは、左手で爪切りを操作します。
左手の爪を切るときは、右手で爪切りを操作します。
つまり、両手の爪を切るためには、左右の手で爪切りを操作することが求められます。
脳卒中などで半身が麻痺した患者さんは、麻痺した手の爪を切ることはできても、麻痺していない手の爪を切ることはとても困難です。
そんな時に活躍するのが自助具です。自助具とは、「自らを助ける道具」のことです。
片手で爪を切ることができる自助具が市販されていますので、紹介させていただきます。
板の上に手を乗せて
手で板を下に押すと、爪切りのレバーが押されて爪が切れる仕組みになっています。
作業療法士は、身体機能を回復する訓練を行うことはもちろんですが、患者さんに適した自助具を紹介することも重要な仕事の1つです。そのため、自助具に関する幅広い知識が求められます。
ちなみに、この片手用の爪切りの価格は3000円程度です。
とても便利なものですが、ちょっと高価です...。
そこで、自作してみました。
市販品と並べるとこんな感じです。
材料は、100円ショップで販売されている爪切りと釘10本、ボルトとナット各1個、学院にあった木材の切れ端などです。
かかった費用は部品代で200円程度だと思います。
そして、費用だけでなく市販されている商品より優れていることがあります。
市販されている片手用の爪切りは、親指の爪がとても切りにくいのです。
何故かというと、人間の親指は、その他の指と比べて向いている方向が違うからです。
そのおかげで、物をつまんだりすることが上手にできるのですが。
爪切りの刃と爪の方向が合いません。
しかし、私が自作した爪切りでは簡単に切ることができます。
安価である上に高機能!
作業療法士は、自助具を紹介するだけでなく、「作る」こともします。
また、1人の患者さんのためだけに、新しく自助具を開発することもあります。
世界に1つだけの自助具。その自助具によって、患者さんの生活がより良いものになる。
作業療法士って、ちょっとステキじゃないですか?
作業療法士に少しでも興味を持っていただければ幸いです。