高次脳機能障害の作業療法学
みなさん、こんにちは!!作業療法学科 教員Tと申します。
今日は作業療法学科2年生後期に行われる『高次脳機能障害の作業療法学』の授業をご紹介します。
突然ですが、みなさん!!脳はどんな役割を担っているかご存知ですか???
「運動を司っているところ!!」
「その通り!!」
脳は運動を司っています。脳の運動野(うんどうや)というところから運動命令が下され、神経を介して私たちの筋肉を動かし運動が起こります。
しかし!!脳は運動を司るだけではありません。
例えば、左脳の前頭葉では『言葉を話す』、左脳の側頭葉では『言葉を聞いて意味を理解する』、後頭葉では『見たものを認識する』
その他にも『記憶する』、『記憶を呼び起こす』、『集中して物事に取り組む』、『過去の記憶を参考にして物事を判断する』、『問題を解決する』などなど……脳は局在によって役割分担され、様々な働きをしています。これら脳の働きの総称を『高次脳機能』といいます。
私たちは目や耳などから色々な刺激を受け、脳にその情報を送っています。そして脳はそれらの刺激を知覚・認知して学習します。
例えば、みなさんがオギャーと産まれたての頃、救急車の音を聞いても何の音か理解していませんでしたよね。成長していく過程で『ピーポーピーポー』と音を聞いて、「これは救急車の音だよ!!」と教わり、「救急車が通るために道を空けないといけない!!」と認知・学習してきましたよね!!この認知・学習こそが『高次脳機能』です。
また、脳は私たちの言動に「ちょっとマッタ!!」とブレーキをかけてくれるところでもあります。みなさんが頭の中で考えたことをそのまま言動におこしたら、大変なことになりますよね…。
例えば、通学途中の駅で綺麗なお姉さんを見かけたとしましょう。通学方向とは反対のホームへ向かうお姉さんに「わぁ~素敵な人だな~~」とお姉さんに声を掛け、ついていってしまうことはそうないと思います。綺麗なお姉さんについていきたい衝動に「ちょっとマッタ!!今は学校に向かっている途中だぞ!!」と脳は衝動にストップ!!ブレーキをかけてくれています。
脳って凄い!!
交通事故や脳卒中など外傷や病気で脳が損傷されると『高次脳機能』に障害が生じます。
すると場に見合った言動が取れなくなるなど、社会生活に支障がでます。
『高次脳機能障害の作業療法学』では、高次脳機能障害の検査方法やリハビリテーションの方法などを学びます。
では、ここで検査の一つを試してみましょう!!
まず、白紙2枚と鉛筆を用意してください。
手順を説明しますね。
1.下の見本図をよく見ながら、1枚の紙に見本図を描き写してください。
見落としなく、描き写せましたか?
線の数、位置などをしっかりチェックしてくださいね!
2.次は2枚目の白紙を用意してください。
今度は見本図を見ずに先程描いた図を思い出しながら、再現して描いてみましょう。
描き終えたら、見本図と見比べ答え合わせをしましょう。
どうでしたか??
結構、難しかったのではないでしょうか??
これは『Reyの複雑図形課題』という記憶力を診る検査です。
1.の方法では、目で見たことを正確に捉えられるか(認知できるか)を検査しています。
この方法では特に後頭葉が働きます。
2.の方法は、目で見たことをどのぐらい記憶し再現できるかを検査しています。
この方法では特に側頭葉や前頭葉が働きます。
同じ図を使っても方法が変わると、働く脳の場所も異なります。
『高次脳機能障害の作業療法学』では、学生同士でこのような検査を実際に行い、演習しながら学びを深めます。
実は先日、『高次脳機能障害の作業療法学』の授業最終日でした。
作業療法学科2年生のみなさん、この検査、定期試験にでるかも~~!!!!
高次脳機能のお話、いかがでしたか?
高次脳機能は奥が深い、ここではお話ししきれません……(笑)。
皆さんが入学されましたら、一緒に高次脳機能について楽しく勉強していきましょう!!
皆さんの入学をお待ちしております!!!