八千代リハビリテーション学院

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ヤチリハのブログ

『わすれものが多いうちの子』

理学療法学科の加藤です。うちには9歳になる二卵性の双子の男の子がいます。ふたりは二卵性なので、顔も性格も違います。

20分だけ早く生まれた長男はどちらかと言うとわたしに似て、20分だけ遅く生まれた次男はあまりわたしには似ていないです。

ふたりは今、小学3年生。わんぱく盛りというやつで、サッカー部に入ってます。

 

ふたりともよく学校の忘れ物をするのですが、特に次男のほうは多いみたいで、しょっちゅう奥さんに怒られています。担任の先生から連絡帳に親宛てに、「忘れ物をさせないように家庭でも気を付けてください」なんて書かれたりします。だから、ほぼ毎日のように声をかけて気を付けているのですが、それでも忘れ物をよくしています。

ある日は書道セット、

またある日は赤白帽子、

こんどは算数ノート、

次はリコーダー、

音読カードはしょっちゅう、

挙げ始めたらきりがない。時には筆箱を忘れたりもしてます。

だから、怒りっぽい妻の叫びがやむことがありません。親の側にも問題はあるのかもしれません。毎日毎日、小言とか説教をしていると、子どもらは何を言われても耳を傾けないようになってしまっているのかもしれません。

 

さて、そのわすれものをよくする20分だけ遅く生まれた次男坊の方が、ずいぶん前から、時々ですけど股関節の痛みを訴えることがあって、一度気になって整形外科を受診したりしたこともあるのですが、レントゲンを撮ってもらっても特に何かあるわけでもなく、またその後、痛みの訴えもしばらくなかったりして、それほど深刻には考えていなかったのですが、今からちょうど一年前のある時、彼が履いているサッカーのシューズの裏を何気なく見てみると、あることに気づきました。

 

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さて、みなさん、写真を見てわかるでしょうか。左の靴(写真では右側)のかかとが右よりもすり減っているのです。

なぜ左の踵が右よりもすり減っているのか。

そういった原因を考えたり、調べたりするのも、理学療法士のしごとなのです。そこで、さっそく自宅で理学療法的な評価をやってみました。うちの子のからだはどうなっているのか。なぜ、左の靴のかかとがすり減るのか。

まずは、あおむけで寝てもらいました。すると、

 

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わかりますか。いや、これだけではわからないですよね。だから、足もとをアップにしてみましょう。左右のうちくるぶしの位置を比べてみてください。

 

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左右のうちくるぶしの位置が違いますよね。あとは、左右のかかとの位置を見ても違いますよね。

おそらく、右脚と左脚の長さが違うのです。左脚のほうが長く見えますよね。

確認のために別の検査もしてみましょう。あおむけのまま、両方の膝を立てます。そして、足先の横から両方の膝の高さを比べてみます。

 

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膝のところをアップにしてみます。

 

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わかりますか。やっぱり左の膝が高い位置にある。ということは、左脚のほうが右よりも長いということになりますね。

どうやら、生まれつき次男坊のほうは、左脚が右よりも長いみたいです。だから、歩くときに長いほうの左側の靴底をよく擦るので、左のかかとがよりすり減りやすいのではないかと思いました。

他にも、この次男坊は歩くときに、ときどき上体(体幹)が左右に揺れたりしていました。ときどき訴えていた股関節の痛みも、元をたどると原因はこの左右の脚の長さの差から来ていたのかもしれませんね。

 

うーん、さてそうなると、理学療法士として、いや父としてどうするか。いろいろ考えて、靴の中に細工をしてみました。

左脚が右よりも長いということは、右脚が左よりも短いということ。相対的に短いほうの右脚を長くすればいいわけなので、右の靴の中に少し厚みをもたせる細工をしてみました。右靴のかかと部分にテーピングを何枚か貼って厚みをつけたり、「アーチ(つちふまず)」の下に厚みをつけたり(写真)。これは「インソール」といって、理学療法に限らず、足の不調に対してよく用いられる方法です。

 

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ところが、この手作りインソールが、うまくいかなかったのです。靴の中に細工した数日後あたりから、次男坊が「足の裏にへんなのができた」と訴え始めました。胼胝(たこ)です。正直に言って、認めたくはなかったですが、これは失敗だったということでしょう。理学療法士としても、父としても、面目丸つぶれ。最初から、考え直すしかない。

 

次は靴への細工はやめて、足の使い方を意識させることにしました。ある時、次男坊が裸足で歩いているのを見て、あしの指をあまり踏みしめていないなということに気づきました。脚の長さの違いと、あし指を使わないことにどう関係があるか十分に考察していないのですが、とにかく次の作戦は、歩くときになるべくあし指に力をいれさせることにしました。

ただ問題は、いつもいつもふざけて遊んでいて、親がああやれこうやれということをまともにやろうとしないことです。だから、あしゆびエクササイズの本のページを、トイレの壁にさりげなく貼ることにしました。

 

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(『足ゆび力 ~つま先を使うだけで一生健康でいられる~』石井紘人(著)・夏嶋隆(監修),株式会社ガイドワークス)

 

「やりなさい」とか頭ごなしに言うとやらないうちの息子たちなので、これをトイレの壁に貼っておいて、ときどき「あしの指をしっかり踏みしめると、走るの早くなるんだってさ」とか、聞こえよがしに言うことにしました。すると、どうやら時々意識しているみたいで、毎朝、サッカーの朝練に行くときに二人を後ろから見送っているのですが、次男坊のほうの歩き方が変わってきている気がしてきました。体幹が左右に傾かなくなったような。

はた目から、靴の中のあし指をしっかり踏みしめているかどうかはわかりにくいです。ただ、理学療法士が見れば、歩くときの膝の伸びや、足裏のかえり、ひいては体幹の動きなどにもあらわれているのがわかるのです。

毎日毎日見ていると、子どもなりに足のゆびを意識しているなというのがわかりました。

さて、そうなると、靴のすり減りはどうなるか。靴は新しい靴になっていますが…

 

 

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これは本当に次男坊が最近履いているシューズです。ほぼ、左右のすり減りに差はないです。歩き方の変化が、はっきりと靴底のすり減りにも出てますね。

そうなると、気になる左右の脚の長さはどうか。あれから一年近く経って、変わっているでしょうか。

同じように寝てもらいましょう。

 

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あれ、どうかな。やっぱり左脚は…。寄ってみましょう。

 

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左右の踵の位置関係を見ると、やっぱり左脚は長そうですね。では、一年前にやったのと同じように膝を立ててみて見ます。

 

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みなさん、わかりますか。やっぱり左の膝は高いですよね。

脚の長さは、あいかわらず左が長いですね。なかなか、骨の長さは変わらないんですね。

それでも、歩き方が前よりもよくなってきたし、すり減りも差はなくなったし、おそらく自分であしの指を意識して変化してきているんじゃないかな。

 

いつもいつもふざけてばかりで、親の言うことなんか全く耳を傾けないようだけど、実はいろいろ聞いたり、いろいろ考えているのかな。

おや、リビングの壁にはこんなものが貼ってあるぞ。

 

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まあそれでも、当分わすれものはなくならないでしょう。

 

多少、足の長さが違っても、わすれものいっぱいあっても、元気であればそれでいいよ。

 

よし、今日も頑張って、朝練行ってこい!

 

 

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201928AM 7:00